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Samsung Display、第1四半期の出荷実績減少、 第2四半期には回復見込み

UBI Researchが発行した第1四半期のディスプレイ「Market Track」によると、Samsung Displayのスマートフォン用OLED出荷量は、前四半期比26.0%、前年比4.7%減少した8,800万個と集計された。

一方、売上高は前四半期比32.4%減少、前年比30.4%増加した53億7,000万米ドルになるという。

<Samsung Displayにおける第1四半期のスマートフォン用OLED実績>

リジッドOLEDは、Samsung Electronicsによる低価格モデルへの継続的なLCD採用と中国セットメーカーによる需要減少で、第1四半期に量産ラインの稼働率が低下した。同様に、フレキシブルOLEDもAppleの需要減少とGalaxy Sシリーズの実績不振で稼働率が低下した。

UBI Researchは「第1四半期にはセットメーカーによる需要減少で実績が下がったが、4月からフルスクリーンリジッドOLEDの需要が増加し、リジッドOLED量産ラインの稼働率も次第に高まり始めた。6月からは前年と同レベルまで回復するとみられる。また、フレキシブルOLEDの量産ラインも、Samsung Electronicsによる次期モデルの早期量産とAppleによる新モデルの量産開始で、再びフル稼働に戻ると期待される」と明らかにした。

OLED全体市場規模は、2018年第1四半期に61億2,000万米ドルと集計され、このうちスマートフォン用OLED市場は91.1%、大面積OLED市場は5.7%を占めた。

2018年のスマートフォン用OLED出荷量は4億4,000万個になる見込みで、Samsung Displayが占める割合は93.4%になると予想される。

<2018年OLED市場展望>

 

【2018SID】フルスクリーンにさらに一歩近づいたSamsung DisplayのOLED技術

ロサンゼルスで開催中の2018SIDでは、スマートフォン前面にスピーカーがない新概念のOLEDが公開された。

Samsung Displayの新作「Sound on display」は、スマートフォンの上部にあったスピーカーを無くし、パネルの裏面に電気信号を振動に転換する圧電アクチュエータ(Piezo-electric Actuator)を取り付けたものだ。アクチュエータがOLEDパネルを振動させ、音を発生するメカニズムである。LG Displayが販売している「Crystal sound OLED」と同じ方式だ。

この技術を用いると、スマートフォン前面からスピーカーを無くすことができ、ディスプレイの面積が大きくなる。最近のホームボタンがディスプレイに内蔵される傾向とともに、スピーカーも内蔵される方向で、OLEDはさらなる進化を続けるとみられる。

2018年第1四半期に発売されたOLEDスマートフォンの平均D.A、80%を突破

2018年第1四半期に発売されたOLEDスマートフォンを分析した結果、OLEDスマートフォンディスプレイの平均サイズ、またスマートフォンサイズに対するディスプレイサイズを表すD.A(Display Area)が大きく増加している。

2018年第1四半期に行った調査によると、OLEDスマートフォンは製造メーカー5社から全13種が発売されたという。Samsung Electronicsが5種で最も多く、次いでVivoが3種、Oppoが2種、Elephoneが2種、Huaweiが1種のOLEDスマートフォンを発売した。

13種のうち、ホームボタンを無くしたフルスクリーンOLEDスマートフォンが12種、ノッチデザインを採用したスマートフォンが4種である。制限されたスマートフォンのサイズから最大の画面を実現するために、2017年下半期よりフルスクリーンOLEDを本格的に採用し始め、2018年第1四半期に多数のスマートフォンを発売したのだ。

<2018年第1四半期に発売されたOLEDスマートフォン>

フレキシブルOLEDスマートフォンの発売に伴い、ディスプレイの平均サイズとD.Aも大きく増加した。

2018年第1四半期に発売されたOLEDスマートフォンディスプレイの平均サイズは6.01型となった。この結果は2017年比7.7%、2016年比6.7%増加したサイズである。また81.6%のD.A(Display Area)は、2016年比71.6%、2017年比74.1%増加したものである。

<ディスプレイサイズとD.Aの年度別変化>

一方、2018年に発売されたOLEDスマートフォンディスプレイの平均ppiは422.9で、2016年に比べて5.9%増加したものの、2017年の平均ppiである422.2とほぼ同じ解像度となった。これは、2017年からQHD級以上の高解像度OLEDスマートフォンが多く発売されたため、と分析される。

商業化に向けた生産準備中の青色TADF(熱活性化遅延蛍光)エミッタ

来週、韓国ソウルで開催される第4回OLED Korea Conferenceで、主要OLED産業関係者が次世代ディスプレイに関する新しい技術について論議する予定である。期待を集めている技術の一つはTADF(熱活性化遅延蛍光)技術で、このテーマは今回UBI Researchが主催するカンファレンスで重要に扱われる。

 

TADF 技術は青色発光材料の効率を改善するための方法として、大きく注目されている。高効率青色材料を採用したOLEDはまだ市場に出ていないが、この材料への需要は毎年増え続けている。

 

高効率青色TADFを使用すると、ディスプレイ製造メーカーはディスプレイの電力消費を低減することができる。そのため、消費者は携帯機器のバッテリー節約と大型ディスプレイの電力消費を抑えることができる。また、高効率青色材料を用いることで、ピクセルのサイズが小さくなり、解像度と画質を向上させることができる。

 

この2つの改善事項は、消費者の満足度を大きく高める。TADFのリーディングカンパニーであるCYNORAは青色TADF材料が高効率青色エミッタの性能を飛び越えたことを示している。CYNORAによる材料の最新性能は、顧客の要求事項にかなり近づいていると言えるが、一方では市場参入の障壁になる可能性もある。今回のOLED Korea ConferenceでCYNORA最高マーケティング責任者(CMO)のAndreas Haldi博士は、CYNORAにおけるTADFエミッタの現況および次世代AMOLEDディスプレイの実現に関するアップデート情報について発表する予定だ。Haldi博士は、最新OLEDデバイスに効率的な青色材料を採用した結果とCYNORAの量産に向けたOLED製造メーカーとの緊密な協力方案について詳しく説明する。

Visionox、UDCとOLED評価契約締結発表

UDC(Universal Display)はVisionoxがOLED評価契約に署名したと発表した。今回の契約で、UDCはVisionoxにディスプレイアプリケーション用りん光OLED発光材料を供給する予定だ。詳細な契約内容や金額などは公開されていない。

 

2008年中国で初めてPMOLEDを量産したVisionoxは、2015年第2四半期に崑山(Kunshan)市で第5.5世代リジッドOLED量産ラインの稼働を開始した。昨年10月に開催されたIMID 2017ビジネスフォーラムでVisionoxのXiuqi Huang博士は、2018年第2四半期に固安(Guan)県での第6世代フレキシブルOLED量産計画とフレキシブルOLEDの開発ロードマップなどについて説明したことがある。

<VisionoxのOLED生産ライン現況>

Xiuqi Huang博士は「2018年から2020年まで6∼8型相当のスマートフォン用フルスクリーンOLEDと折り畳み型(Foldable)OLEDの開発を目指している。2021年以降は6∼12型相当のスマートフォンやノートパソコン用、車載用フレキシブルOLEDを開発する予定だ」と述べた。

<VisionoxのフレキシブルOLED製品ロードマップ>

Merck、量子物質を利用した新しい高効率OLED ELQ-LED研究への取り組みを開始

MerckはOLEDに量子物質を混ぜ合わせたELQ-LED(Electroluminescent Quantum Materials-based Light-Emitting Diode)の研究に取り組んだことを明らかにした。ドイツ連邦教育研究省(BMBF)より合計550万ユーロの資金援助を受けると知られているこのプロジェクトは、ディスプレイと照明産業に貢献するために量子物質を開発することであり、プロジェクトの総予算は910万ユーロである。

 

MerckはOLEDに量子物質を採用したELQ-LEDが、低生産コストで高色純度と高エネルギー効率を実現できると伝えた。しかし、量子物質の中で、毒性物質のカドミウムは使用を禁じられた。MerckのOLED・量子物質責任者Michael Grund氏は「ELQ-LEDは体系的に改善されたOLEDを紹介し、OLEDと量子物質の関係でシナジー効果を生み出すための大きな可能性を提示する」と説明した。

 

このプロジェクトはMerckとOSRAM OLED、Fraunhofer Institute for Applied Polymer Research(IAP)、アウグスブルク大学(University of Augsburg)などが参加し、Merckは構成要素とプロセス、マトリックス材料、輸送材料(Transport materials)、インクをテスト・開発する予定である。

 

Merckは全ての構成要素が生産コスト削減のために印刷材料として開発されることや、印刷された部品のテストをディスプレイと自動車のテールランプ部分に実施することを明らかにした。この研究プロジェクトは2020年夏まで3年間続く予定だ。

LG Display、2017年の年間営業利益が2兆ウォン突破

LG Displayは23日行われた2017年10~12月(第4四半期)の決算カンファレンスコールで、2017年の売上高は27兆7,902億ウォン、営業利益2兆4,616億ウォンを記録し、売上高は前年比4.9%、営業利益は87.7%増加したことを明らかにした。LG Displayが2兆ウォンの年間営業利益を突破したのは今回が初めてとなる。

2017年第4四半期の売上高は7兆1,261億ウォン、営業利益は444億7,600万ウォンを記録したと発表した。売上高は前四半期比2%増加、前年同期比10.2%減少となった。営業利益は前四半期比92%、前年同期比95.1%減少したが、23四半期連続で営業利益の黒字化を達成した。

第4四半期営業利益が減少したのは、昨年末における販売価格の下落とウォン高、2018年のOLED事業を拡大するための新規顧客向け製品開発、プロモーション費用、一時費用の一部が増加したことによるものであり、今年第1四半期末に安定化する見込みと伝えた。

LG Displayは2020年まで大型および中小型OLEDを中心に9兆ウォン規模の投資を実施する予定で、OLEDとOxideなど未来向けの新技術に注力し、OLEDへの事業転換を加速化する計画だと明らかにした。また、中国広州市にある第8世代OLEDへの投資は、政府の承認遅れで計画が3カ月先延ばしされたが、2019年下半期には稼働を開始できるように努力するという意思を示した。

TV用OLEDパネルは2017年の170万台から2018年には250~280万台出荷すると期待されている。今年は収益性を確保することを最優先目標にし、平均販売価格(ASP)を例年並みを維持するように努力すると付け加えた。

最高財務責任者(CFO)のキム・サンドン副社長は「今回CES 2018で確認されたように、OLEDパネルが多く採用され、壁紙(Wall-paper)、クリスタルサウンドOLED(CSO)、丸められる(Rollable)ディスプレイなど、OLED TVに対する需要増加が激しくなる」と強調した。

中小型OLEDにおいては、龜尾(Gumi)の第6世代E5工場で量産安定化と生産性向上に向けて取り組み、坡州(Paju)の第6世代E6向上では今年第3四半期までの量産開始を目標に準備を進めているという。スマートフォンの競争力を確保し、折りたためる(Foldable)ディスプレイなど、次世代製品を先取りして未来に備え、追加的なPOLED設備投資の拡大は市場状況と顧客の需要によって、適切な時期に実施すると説明した。

2017年第4四半期売上高を基準にした製品別販売に占める割合を見ると、TV用パネルが40%、モバイル用パネルが28%、ノートパソコンおよびタブレット用パネルが18%、モニター用パネルが14%になることが示されている。

RGBインクジェットプリント技術、中小型OLEDにも採用されるのか

先日12月7日に韓国ソウル三成洞にあるCOEXで開催された「OLED/ディスプレイ下半期セミナー」で、Unijetのキム・ソクスン代表は、インクジェットプリント技術によって、550ppi以上のRGBピクセルを形成し、中小型OLED工程にもインクジェットプリント技術を採用できると発表した。

現在量産している5.5型モバイル機器のQHD解像度は550ppi程度で、Pentile構造であることを鑑みると実際には400ppi相当である。一方、RGBピクセルを形成するためのインクジェットプリント技術は、現在150~200ppi程度で、55型以上のOLEDに8Kの解像度まで実現できるが、中小型OLED工程への採用はまだ難しい。キム代表の発表通り、中小型OLED工程に550ppiを形成可能なインクジェットプリント技術が採用されると、5.5型でPentile構造を基準にUHD解像度を実現できる。

<サイズと解像度によるppi>

キム代表は「2012年にSingle droplet measurement技術による吐出量のバラツキは2.5%程度で、RGBプリントには実現できない技術だった。2017年にLaser droplet measurement技術で0.1um以下に吐出量を制御できるようになり、リアルタイムで内部の圧力を調整し、バラツキを0.1%以下に抑えた」と述べた。これにより、ピクセル構造とは無関係に550ppi以上のRGBピクセルを形成できると説明した。

最後にOLED RGBピクセル用インクは、溶媒の純度が非常に重要であると述べ、「パネルメーカーが求めるインク材料の開発が先に行われた上で、インクジェットプリントを常用化できる。2020年以降になると、本格的に量産ラインへ採用できる」と予想した。

変わらない熱気あふれる中国のIT産業、その中心にあるOLED

最近中小型OLED市場をリードしている韓国Samsung Displayと大型OLED市場をリードしている韓国LG Displayによる新規投資がいつ、どこで、どのような規模で行われるかに関する情報が、ディスプレイ産業の主要ニュースとなっている。特に、政府からの支援を受け、本格的にフレキシブルOLEDラインを建設している中国のパネルメーカーと韓国の技術格差がいつになったら解消されるのかに大勢の関心が集まっている。

 

今年で19回を迎えるHi-Tech Fairは、中国IT産業にどれほど関心が集まっているかが分かる代表的なイベントである。11月16日から19日まで、中国深川で開催されるHi-Tech Fairでは、IT産業関連のほぼ全分野における展示が行われる。IT産業で重要性が高まっているディスプレイと通信は、他の分野と連携しながら発展を続けている。

 

9つの展示ホールでスマートシティ、ロボット、航空、通信、家電、ゲームなどIT関連の様々な産業における最近技術を体験することができる。その中の第1ホールでは、中国の大型パネルメーカーであるVisionoxが最も目を引き、多くの来場者が中国のディスプレイパネル技術を見るために集まっていた。

 

最近スマートフォンディスプレイのトレンドとなったGalaxy Edgeシリーズを代表する曲面(Curved)デザインとベゼルを最小限に抑えることで大画面を実現するベゼルレスデザインは、現在Samsung Displayがほぼ単独供給している。Visionoxは今回の展示で、フレキシブルパネルを採用した8Rの曲面デザインとリジッドパネルを採用したベゼルレスデザインのスマートフォンを公開した。

 

関係者によると、今回公開された曲面ディスプレイは2018年の初めに発売するスマートフォンに採用する計画で、中国スマートフォンメーカーと供給を協議している。また、今後FordableとRollableアプリケーションの実現を目指して開発に取り組んでいる多彩な形状のフレキシブルディスプレイも展示された。

他には、中国でOLEDを採用しVR機器を製造・販売する代表企業RoyoleがVR機器‘Noon’とともにフレキシブルセンサーなどを展示した。また、映像で0.01mmの超薄型フレキシブルディスプレイを公開し、ディスプレイ技術の開発が今後も続いていくというメッセージを伝えた。

 

他のブースでも自動車やロボットを始めとする各種電子機器に様々な形状と機能を持つディスプレイパネルが採用されていることが確認できた。特にOLEDは優れたデザイン、薄いパネル、高解像度など、技術的な利点を生かすことで、適用可能な範囲が広いため、今後のIT産業において、その重要性はますます高まっていくと見られる。

次第に領域を拡大しているOLED照明

OLED照明が次第に採用可能領域を拡大していることで、OLED照明市場の開花への期待感が高まっている。特にLG Displayは最近OLED照明の生産ラインを稼働する準備を整え、顧客企業向けのマーケティング活動を積極的に展開しており、OLED照明市場が本格的に拡大するかに注目が集まっている。

 

LG Displayは最近韓国ソウル淸潭洞にあるbaskin robbins BROWNにOLED照明を納品したことを始め、明洞にあるコスメショップIOPEに‘Transparent Connections’が採用されたOLED照明を納品したことを伝えた。LG DisplayはOLED照明の厚さが0.88mmと非常に薄いため、審美的効果が高く、発熱が少なくて化粧品などの展示商品には影響を与えないと説明した。

<IOPEのショップで使用されているOLED照明、参考:lgoledlight.com>

今までのOLED照明市場は、モバイル機器とTVに積極的に採用されているOLEDディスプレイ市場に比べ、成長が遅れていた。しかし、OLED照明は薄くて軽く、柔らかいパネルを実現できることから、次世代照明として注目を集めつつ、そのような特性を活かし、室内照明に限らず、自動車用照明や展示用照明など、様々な分野に広く採用されている。

 

最近はIKEAが7つのOLEDパネルが採用された照明器具‘Vitsand’を発売したことを明らかにし、Mercedes-Benzは2018年型Benz S class CoupeとCabrioletのバックランプ(後退灯)にOLED照明を採用するなど、次第にOLED照明の地位が高まっている。.

 

UBI Researchが発刊した『2017 OLED Lighting Annual Report』では、OLED照明パネルの世界市場規模が2020年から大きく成長し、2021年には約19億米ドルに達すると予想している。