2017年のOLED TV製品数 昨年比約2倍増

2015年と2016年に比べ2017年に発売されたOLED TVモデルは大きく増加したことが示された。OLED TVは2016年に16種、2017年に29種発売され、前年度に比べ製品数は約2倍近く増加した。各企業による製品数は、LG Electronicsが最多で10種、Loeweがそれぞれ5種で次に多かった。

年度別OLED TV製品数比較

今までLG ElectronicsがリードしていたOLED TV市場は、2017年初にSonyによって世界初のOLED TV発売が決定され、大きな注目を集めた。CES 2017で初めてOLED TVを公開し、スピーカーが無くても音を発することができる「Acoustic Surface」技術で、多くの関心を呼んだSonyは55型、65型、75型OLED TVを製造し、LG Electronicsと合わせてプレミアムTV市場をリードしている。

 

2018年にはOLED TVの製品数が今まで以上に増加すると予想される。FlatPanelsHDによると、2017年初に55型OLED TVを1種のみ発売したPhilipsが65OLED973、65OLED903、65OLED873、65OLED803、55OLED903、55OLED803など、6種のOLED TVを2018年初に発売することを決定した。プレミアムTV市場をリードしているOLED TVを高価格帯の9xxモデルと低価格帯の8xxモデルに分け、多くの消費者を引き付けるという戦略のように考えられる。

 

2018年のOLED TV出荷量も増加すると見られる。UBI Researchは55型以上のOLEDパネルにおける出荷量について、2018年に240万台、2022年に910万台になると予想した。プレミアムTV市場をリードしているOLED TVが2018年にその存在感をより確実に示すかに注目が集まる。

<2018~2022年、55型以上のOLEDパネルにおける出荷量展望>

LG Display、照明事業の本格化に向け OLED照明ブランド「Luflex」ローンチ及び世界最大規模生産ライン稼働開始

LG Displayが新成長動力として集中的に展開しているOLED照明事業が本格化を迎える。LG Displayは7日、世界最大規模のOLED照明生産ラインを稼働することを公式に発表し、OLED照明ブランド「Luflex」を披露した。

<LG Displayの照明ブランド「Luflex」、参考:LG Display>

LG DisplayはOLED照明の本来の価値に焦点を当てた代表ブランド「Luflex」を公開した。「Luflex」は光、光彩を示す「Lux」と折りたたんだり曲げたりできるOLEDの構造的特徴と無限の活用可能性を示す「Flexibility」を合成した表現である。LG DisplayはOLED照明の優秀さを感性的に伝えられる「Luflex」で、市場における影響力を拡大し、OLED照明を代表するNo.1ブランドに成長させる方針だ。

 

最近本格的に量産を開始したLG Displayの龜尾(Gumi)工場の第5世代OLED照明生産ライン(1100㎜×1250㎜)は世界最大規模で、既存の月4,000枚規模の第2世代生産ライン(370㎜×470㎜)と比較し、約30倍以上多く生産できる。LG Displayは1万5,000枚で量産を開始し、徐々に生産量を増やしていく計画で、大量生産による品質向上と価格競争力確保を同時に図り、市場占有率拡大が加速すると見込んだ。

<LG Displayの第5世代OLED Lighting工場全景、Source: LG Display>

LG Display OLED照明事業担当のパク・ソンス常務は「Luflexブランドのローンチと世界最大規模の生産ラインによる量産開始は、LG Displayが持っている独自のOLED技術と市場に対する自信を基に行われたことである」と述べ、「新しいブランドでOLED照明の無限な価値を積極的に訴求する一方、OLED照明市場を先導していく」と強調した。

 

OLED照明は有機物による自発光の特性を活用する製品で、電力消費と発熱が少なく、環境にやさしい自然光に近い。また、薄くて軽いという構造的特性で、透明やフレキシブルを実現するなど、デザインの自由度が非常に優れており、未来価値が高い。

 

LG DisplayはOLED照明の光源を提供するB2B企業として、今後照明器具メーカー、自動車部品を生産する電装品メーカーなど、様々な顧客企業と共同で、広告やマーケティングにも先駆ける予定である。

 

最近LG Displayが見せてきた限界を乗り越える革新的なデザインのOLED照明作品を接してきた市場における期待が一層高まった状況であるため、照明事業の本格化は意義は極めて大きい。デザインの自由度のみならず、環境にやさしくて優秀な品質を持っているOLED照明は、世界有数自動車ブランドから尾灯の光源としてラブコールを受けており、高級ショップでの差別化されたインテリア要素としても脚光を浴び始めた。LG Displayは自動車用照明を始めとする一般照明市場へ次第に拡大していく計画である。

 

一方、UBI Researchが発刊した「2017 OLED Lighting Annual Report」では、世界OLED照明パネル市場は2020年から大きく成長し、2021年には約19億米ドル規模に達すると予想されている。

OLEDモバイル機器用AOI装置市場、2021年まで23億3,000万米ドル規模まで拡大期待

中小型OLED検査に使用されるAOI(Automated Optical Inspection、自動光学検査)装置は、製品に光を照射し、反射される光量の差から欠陥の有無を確認する非接触検査装置である。AOI装置は繰り返されるパターンの比較によってその差を認知し、パターン不良を検出できるのみならず、Maskの異物とLLO(Laser Lift Off)工程の前後に基板の異物も検出できる。

 

そのため、AOI装置はTFTパターン検査とMaskの異物検査、OLED画素検査、封止検査、LLO前後の基板検査など、全てのOLED工程で使用されている。

 

AOI装置を製造する主要メーカーは、HB Technology、DIT、HIMS、LG PRIが代表的である。HB Technology、DIT、LG PRIはOLED工程で使用されるほぼ全てのAOI装置を製造しており、HIMSはMaskの異物検査用AOIを主に製造している。

 

最近UBI Researchが発刊した『2017 Inspection and Measuring Equipment Report for OLED Mobile Device』では、OLED装置市場全体において、検査測定装置市場は2017年から2021年まで総計66億3,000万米ドル(約7兆3,000億ウォン)規模に達すると予想されている。特にAOI装置は23億3,000万米ドルまで拡大すると見込まれる。

 

工程別に見ると、TFT工程で使用されるAOI装置市場は13億6,000万米ドルで、最大規模となる見込みで、次にOLED画素工程用AOI装置市場は4億3,000万米ドル、封止用AOI装置市場は3億9,000万米ドル、セル工程市場は1億6,000万米ドルになると分析される。

 

UBI Researchのユン・デジョン研究員は「OLED工程でAOI装置を介して不良を検出・リペアすると歩留まり率が向上し、欠陥製品の追加工程を抑えることで品質コストを削減できるという面において、AOI装置の付加価値を見つけることができる」と述べ、「AOI装置が技術的に進歩しつつ、パネルメーカーもAOI装置を積極的に導入し、検査項目を強化する傾向にあるため、AOI市場規模の拡大が期待される」と明らかにした。

<2017~2021年、OLEDモバイル機器用AOI装置市場の展望>

LG OLEDサイネージ、ソウルドラゴンシティの空を彩る

<ソウルドラゴンシティに設置されたLG OLEDサイネージ、参考:LG Display>

韓国LG ElectronicsがOLEDサイネージで、本格的に業務用ディスプレイ市場を攻略する。

 

LG Electronicsは韓国ソウル市龍山に最近オープンした「ソウルドラゴンシティ」に、波形のOLEDサイネージウォールを設置した。設置現場に合わせて折り曲げ可能な55型OLEDフレキシブルサイネージ(モデル番号:55EF5C)39枚で曲面をつなぎ合わせた。長さ27m、幅3.4m規模の雄大な画面を披露した。

 

ソウルドラゴンシティには3棟のタワーに4つのホテルが備わっている。グランドメルキュール、ノボテルスイート、ノボテル、イビススタイルズが入った。LG Electronicsはその中で2棟の最上層の間をまるで橋のようにつなぐ空間「スカイキングダム」の31階の天井にOLEDサイネージを設置した。「スカイキングダム」にはラウンジバー、ルーフトップバー、プール、パーティールームなどがある。

 

OLEDサイネージはLCDとは異なって、バックライトが無く、一つ一つのピクセルが発光するため、高次元の画質を実現することができる。また、視野角が広く、どの角度からも色が歪曲されず、多くの人が見るサイネージに最適である。

 

OLEDサイネージは薄くて軽く、壁に掛けたり天井からぶら下げたりと空間を効率的に活用し、曲面の形状を製作しやすい。LG ElectronicsはOLEDの利点から波形、アーチ(Arch)型、トンネル型などの新しい形状のサイネージを披露したことがある。

 

LG Electronicsは今年初に第2ロッテワールドの展望台専用エレベーター内部の壁3面と天井にOLEDサイネージを敷き詰めた。複層構造の展望台エレベーター2台に60枚のOLEDサイネージが設置されたのだ。118層の展望台を登る約1分間様々な映像が流れる。

 

LG Electronicsは韓国仁川広域市永宗島にあるパラダイスシティにもOLEDフレキシブルサイネージ36枚の大型サイネージウォールを設置した。OLEDフレキシブルサイネージは、設置環境によって凸形状や凹形状に製作できる革新的なパネルである。単純なビデオディスプレイを超え、造形物のように芸術的な形状を製作することができる。

 

LG Electronics韓国B2Bグループ長のイ・サンユン副社長は「OLEDならではの別次元の画質とデザインで、サイネージ市場に新たな価値を提供する」と強調した。

IoT時代、ディスプレイを中心とするスマートインタフェース

新しいIoT時代が到来するという2015年Googleの発言から、今後迎えるスマートインタフェース時代をテーマに中国の大型ディスプレイメーカーであるBOEの発表を皮切りに、第13回「China International Display Conference」が幕を開けた。

 

Randy Chen(BOE、営業マーケティング総括)氏は、最初の発表に合わせてIT市場全体の動向についてまとめながら、BOEの戦略を説明した。2050年には約10兆米ドルに達すると見らているIoT産業の中心には、5G通信と電子機器をディスプレイで結びつけるスマートインタフェースが、大きい役割を果たすようになり、BOEの生存戦略として8Kとフレキシブルディスプレイを強調した。その実現に向け、8K産業連盟の構築に取り組んでおり、中国四川省成都にあるG6フレキシブルラインを始めとするフレキシブルディスプレイを製造するために、投資を継続していると発表した。今年の下半期に稼働を開始した成都のB7ラインで製造されるOLEDパネルは、中国広東省深川にあるスマートフォンメーカーに納品され、来年初めには市場で見ることができると期待される。

 

続いて、PMOLEDを始め、最初にOLED製造を開始したVisionoxのXiuqi Huang(GVO、Vice President)は、スマートフォンのトレンド変化について述べながら、今後フレキシブルパネルをを採用したFordableやRollable形状のモバイル機器が登場すると語った。フレキシブルパネルの様々な形状変更によって、デザインのみならず、関連装置と材料にも技術開発が必要で、Visionoxも積極的に技術開発を進めていることを明らかにした。

 

Samsung DisplayとともにQD-LCDを製造している代表的な企業CSOTは、QLEDとOLED TVの発展可能性について述べ、後発者として技術開発と投資に拍車をかけていることを伝えた。特に、相対的に高い材料使用率と価格競争力という利点を持っている大面積インクジェットプリント技術の開発に取り組みながら、ベゼルを最小限に抑えるスマートフォン用パネルの開発目標についても共有した。

 

中国の代表的なパネル企業の発表に続き、グローバルOLEDリサーチ企業UBI Researchのイ・チュンフン代表は、既に中小型パネル市場とプレミアムTVパネル市場をリードしているOLED市場の規模を予測し、なぜOLEDが次世代ディスプレイとして急成長できたかについて語った。UBI ResearchはOLED専門リサーチ企業で、長年にわたり蓄積したデータとリサーチ経験を活かし、今後OLEDの成長の方向性を示した。

 

現在、ディスプレイ産業では、Apple、Samsung、Huaweiなど、世界の主要スマートフォンメーカーが、既に全てのフラッグシップモデルにOLEDを採用する計画を立てており、LG ElectronicsとSonyなどのTVメーカーもOLED TVがプレミアム市場で成功すると確信している。それが今後OLEDが持っている利点を極大化した様々な形状のパネルとアプリケーションの発展が期待される理由である。

変わらない熱気あふれる中国のIT産業、その中心にあるOLED

最近中小型OLED市場をリードしている韓国Samsung Displayと大型OLED市場をリードしている韓国LG Displayによる新規投資がいつ、どこで、どのような規模で行われるかに関する情報が、ディスプレイ産業の主要ニュースとなっている。特に、政府からの支援を受け、本格的にフレキシブルOLEDラインを建設している中国のパネルメーカーと韓国の技術格差がいつになったら解消されるのかに大勢の関心が集まっている。

 

今年で19回を迎えるHi-Tech Fairは、中国IT産業にどれほど関心が集まっているかが分かる代表的なイベントである。11月16日から19日まで、中国深川で開催されるHi-Tech Fairでは、IT産業関連のほぼ全分野における展示が行われる。IT産業で重要性が高まっているディスプレイと通信は、他の分野と連携しながら発展を続けている。

 

9つの展示ホールでスマートシティ、ロボット、航空、通信、家電、ゲームなどIT関連の様々な産業における最近技術を体験することができる。その中の第1ホールでは、中国の大型パネルメーカーであるVisionoxが最も目を引き、多くの来場者が中国のディスプレイパネル技術を見るために集まっていた。

 

最近スマートフォンディスプレイのトレンドとなったGalaxy Edgeシリーズを代表する曲面(Curved)デザインとベゼルを最小限に抑えることで大画面を実現するベゼルレスデザインは、現在Samsung Displayがほぼ単独供給している。Visionoxは今回の展示で、フレキシブルパネルを採用した8Rの曲面デザインとリジッドパネルを採用したベゼルレスデザインのスマートフォンを公開した。

 

関係者によると、今回公開された曲面ディスプレイは2018年の初めに発売するスマートフォンに採用する計画で、中国スマートフォンメーカーと供給を協議している。また、今後FordableとRollableアプリケーションの実現を目指して開発に取り組んでいる多彩な形状のフレキシブルディスプレイも展示された。

他には、中国でOLEDを採用しVR機器を製造・販売する代表企業RoyoleがVR機器‘Noon’とともにフレキシブルセンサーなどを展示した。また、映像で0.01mmの超薄型フレキシブルディスプレイを公開し、ディスプレイ技術の開発が今後も続いていくというメッセージを伝えた。

 

他のブースでも自動車やロボットを始めとする各種電子機器に様々な形状と機能を持つディスプレイパネルが採用されていることが確認できた。特にOLEDは優れたデザイン、薄いパネル、高解像度など、技術的な利点を生かすことで、適用可能な範囲が広いため、今後のIT産業において、その重要性はますます高まっていくと見られる。

次第に領域を拡大しているOLED照明

OLED照明が次第に採用可能領域を拡大していることで、OLED照明市場の開花への期待感が高まっている。特にLG Displayは最近OLED照明の生産ラインを稼働する準備を整え、顧客企業向けのマーケティング活動を積極的に展開しており、OLED照明市場が本格的に拡大するかに注目が集まっている。

 

LG Displayは最近韓国ソウル淸潭洞にあるbaskin robbins BROWNにOLED照明を納品したことを始め、明洞にあるコスメショップIOPEに‘Transparent Connections’が採用されたOLED照明を納品したことを伝えた。LG DisplayはOLED照明の厚さが0.88mmと非常に薄いため、審美的効果が高く、発熱が少なくて化粧品などの展示商品には影響を与えないと説明した。

<IOPEのショップで使用されているOLED照明、参考:lgoledlight.com>

今までのOLED照明市場は、モバイル機器とTVに積極的に採用されているOLEDディスプレイ市場に比べ、成長が遅れていた。しかし、OLED照明は薄くて軽く、柔らかいパネルを実現できることから、次世代照明として注目を集めつつ、そのような特性を活かし、室内照明に限らず、自動車用照明や展示用照明など、様々な分野に広く採用されている。

 

最近はIKEAが7つのOLEDパネルが採用された照明器具‘Vitsand’を発売したことを明らかにし、Mercedes-Benzは2018年型Benz S class CoupeとCabrioletのバックランプ(後退灯)にOLED照明を採用するなど、次第にOLED照明の地位が高まっている。.

 

UBI Researchが発刊した『2017 OLED Lighting Annual Report』では、OLED照明パネルの世界市場規模が2020年から大きく成長し、2021年には約19億米ドルに達すると予想している。

2017年から2021年までOLEDモバイル機器用検査測定装置市場規模、 66億3,000万米ドルになると期待

モバイル機器のパネル問題による不便を感じる消費者が増加し、最近各パネルメーカー は検査測定の強化に取り組んでいる。

 

検査測定は製品の品質や性能の改善のみならず、顧客満足度を向上することで、ブランドイメージを高めることができる。また、各工程において異常の有無をリアルタイムで点検できるため、工程の安定化による生産性と歩留まり率の向上も実現できると予想される。

 

UBI Researchが発刊した『2017 Inspection and Measuring Equipment Report for OLED Mobile Device』では、OLED装置市場全体における検査測定装置市場規模は、2017年から2021年まで総額66億3,000万米ドル(約7兆3,000億ウォン)になると予想されている。2018年には14億5,000万米ドル(約1兆6,000億ウォン)規模のOLED検査測定装置に対する投資が行われる予定で、2019年には16億米ドル(約1兆8,000億ウォン)の最大規模の投資が行われると予想されている。

 

イ・チュンフン代表によると、韓国のSamsung DisplayはA5の第6世代フレキシブルOLEDラインに対する投資を実施中で、LG DisplayはOLEDの売上高を増加するために大規模投資を行うと発表し、BOEとCSOTなどの中国のOLEDパネルメーカーも、OLEDラインへの投資に積極的に取り組んでいるため、検査測定装置の需要は続くと予想している。

 

本レポートには、2017年から2021年までの検査測定装置市場を様々な観点から分類し、予後を予測した内容が記述されている。2017年から2021年まで全体市場において、基板とTFTに導入される検査測定装置は50.6%と最も大きな割合を占め、セル検査測定装置は29.7%、OLED画素検査測定装置は12.7%、封止検査測定装置は7%を占めると見込んだ。また、検査測定項目別に分類された装置市場は、パターン検査が33.1%、リペア装置が21.3%、点灯検査が16.4%の順になると予想した。

 

最後に検査測定装置の中で最も主要なAOI(Automated Optical Inspection、自動光学検査)装置とレーザーリペア装置は、同期間に23億3,000万米ドルと14億1,000万米ドルになるとの見通しを示した。

<2017~2021年、OLEDモバイル機器用検査測定装置の展望>

仮想現実でリードするOLED、OlympusもOLEDを採用したスマートメガネ発売予定

OLEDはバックライトが必要ない自発光ディスプレイであるため、小型化と軽量化に有利である。また、反応速度が速いため、Oculus Rift、HTC Vive、Sony PS VRなど、様々なHMD機器に採用されている。

 

OlympusがOLEDを採用して片目で仮想現実を体験できる‘EyeTrek INSIGHT El-10’を11月末に発売する予定であることを明らかにした。今回Olympusのスマートメガネ(メガネ型のスマートデバイス)は開発者版で価格は約1,500米ドルとなり、OlympusのウェブサイトとAmazonなどで発売される予定である。

 

今までもOlympusは、片目側にディスプレイを採用するスマートメガネの開発に取り組み、発表を続けてきたが、販売につながるのは今回が初めてとなる。Olympusによると、片目側に映像情報を表示するため利用者の視界を邪魔することなく、情報が必要な時に映像を表示するためディスプレイの存在が気にならないというメリットがある。

<Olympusの‘EyeTrek INSIGHT El-10’、参考:petapixel.com>

 

OlympusはスマートメガネにOLEDを採用し、高画質のリアルな映像、小型化、軽量化を実現した。‘EyeTrek INSIGHT El-10’に採用されたOLEDの解像度は640×400、FOVは13°、バッテリーを含む重量は66gと知られている。OLEDの輝度と製造会社は明らかにされていない。

 

UBI Researchが発刊したAR/VR用ディスプレイ市場レポートでは、OLEDは速い応答速度と完璧な画質で仮想現実市場をリードしており、2021年には5,200万個を出荷し、市場の80%を占めると予想される。

 

<AR/VR用ディスプレイタイプ別の出荷量展望>

プレミアムTV市場における価格競争の激化、OLED TV価格がプレミアムLCD TV価格に近接

プレミアムTV市場においても価格競争が激化している。アマゾン(www.amazon.com)で2017年3月に発売された韓国のSamsung ElectronicsとLG Electronics、日本ソニーのプレミアムTV(55型、65型、フラット型)の中で、基本モデルであるQN55Q7FとQN65Q7F(Samsung Electronics)、OLED55C7とOLED65C7(LG Electronics)、XBR55A1EとXBR65A1E(ソニー)の価格を比較した。

3社における55型と65型プレミアムTVの価格比較(2017~2018)>

その結果、55型は3月の発売から10月まで、3社製品の価格は平均54.8%下落し、特にSamsung ElectronicsのQN55Q7Fが3月の2,798米ドルから10月に1,598米ドルとなり、最も激しい下落率を見せた。65型においても同じ様子だった。65型は3月の発売から10月まで、3社製品の価格は平均60.0%下落し、Samsung ElectronicsのQN65Q7Fが3月の3,998米ドルから10月に2,498米ドルと最も激しい下落率を見せた。

 

ここで、注目することは、LG ElectronicsのOLED TVとSamsung ElectronicsのQLED TVにおける価格の差である。2016年に発売された55型LG ElectronicsのOLED TVとSamsung ElectronicsのSUHD TVにおける価格の差は、2016年12月を基準に約1,000米ドル、65型は1,500米ドルであったことに比べ、2017年に発売されたモデルの価格の差は、2017年10月を基準に55型が200米ドル、65型が300米ドルと昨年より格差が大きく縮小した。

 

このようにOLED TVの価格が急速なペースでプレミアムLCD TVの価格に追いつくことができたののは、LG Displayが生産の歩留まり率を安定化させた影響のためと見られる。

 

特に、今年の下半期から本格的に稼働を開始したLG DisplayのE4-2ラインが2018年から全面稼働に入ると、LG Displayの大面積OLEDパネルの生産量は、2017年の約170万台より41%増加した240万台になり、OLED TV市場の拡大も一層早まる見込みだ。