UBI Research、OLED封止、TFEが主流

■ 全てのエッジタイプとフルスクリーンタイプのフレキシブルOLEDにTFEを採用する見込み

■ プラズマCVD(PECVD)装置、封止装置市場全体の62%を占有

 

UBI Researchが発刊した『2017 OLED封止アニュアルレポート』は、OLED封止技術の中で、薄膜封止(Thin Film Encapsulation:TFE)が2021年にOLEDパネル全体の約70%に採用され、主要封止技術になると予想した。

 

最近のOLEDディスプレイは、エッジタイプからベゼルを最小限にしてフルスクリーンを実現することがトレンドになり、フレキシブルOLEDがフルスクリーンの実現に最適なディスプレイに選ばれている。そのため、韓国のSamsung DisplayとLG Displayを始めとする中国パネルメーカーもリジットではなく、フレキシブルOLED量産ラインへの投資に注力している状況である。

フレキシブルOLEDは、薄くて曲げられる特性を持つため、ガラスを使用するフリット封止は適合しなくなり、TFEやハイブリッド封止(Hybrid Encapsulation)を採用しなければならない。

TFEは薄い有機物と無機物を積層して形成する構造を持っており、開発初期には11層積層構造で、複雑な工程と歩留まり率が低いという欠点があったが、現在は3層積層構造を開発し、生産性、歩留まり率、コストが大きく改善され、多くのフレキシブルOLEDに採用されている。

 

<TFEの開発履歴、「2017 OLED封止アニュアルレポート」>

 

一部のフレキシブルOLEDには、バリアフィルムを使用するハイブリッド封止も採用されているが、バリアフィルムの価格が高く、比較的に厚みがあるため、最近は全てTFEを採用している傾向がある。

 

UBI Researchチャン・ヒョンジュン先任研究員は「TFE封止は、エッジタイプとフルスクリーンタイプのフレキシブルOLEDパネルに引き続き採用されることになりそうで、関連装置と材料市場も成長し続ける」と明らかにした。

 

今回のレポートでは、TFEの主要装置は無機物を形成するプラズマCVDと有機物を形成するインクジェットプリンターで、特にプラズマCVDは、TFEだけでなく、ハイブリッド封止の無機膜を形成する際にも用いられる。そのため、プラズマCVD市場は、2017年から2021年まで68億2,000万米ドル規模の市場になり、封止装置市場全体の約62%を占有すると予想した。

 

<プラズマCVD装置市場規模、2017、「2017 OLED封止アニュアルレポート」>

 

 

本レポートは、封止の開発履歴、動向、主要パネルメーカーの動向を始めとする封止関連主要装置と材料市場をテーマにしている。

 

 

Samsung Electronics、第2四半期ディスプレイ事業の営業利益、約1,710億円(1兆7,100億ウォン)達成

韓国Samsung Electronicsは、27日に行われた2017年第2四半期カンファレンスコール(電話会議)で、売上高は約6兆1,000億円(61兆ウォン)、営業利益は1兆4,070億円(14兆700億ウォン)となり、このうち、ディスプレイ事業の売上高は約7,710億円(7兆7,100億ウォン)、営業利益は1,710億円(1兆7,100億ウォン)を達成したことを明らかにした。ディスプレイ事業は、2016年第3四半期以来、4四半期連続で約1,000億円(1兆ウォン)を超える黒字となった。

Samsung Electronicsによると、2017年第2四半期には、フレキシブルOLEDパネルの売上高増加と高付加価値LCDの販売増加によって、前四半期実績を上回った。

主要顧客によるフラッグシップモデルの販売拡大で、フレキシブル製品の販売が増加し、OLED部門の売上高は、総売上高の約60%を占めた。また、UHDと大型TVを中心とする高付加価値製品の販売拡大によって、LCD部門の売上高が増加した。

下半期のOLED部門については、フレキシブル製品の供給を拡大し、上半期に比べ売上高が増加すると予想されるものの、中低価格帯市場については、LTPS LCDとの競争が激しくなり、第3四半期には新規ラインの生産能力拡大によるコスト増加のリスクがあると見込まれている。新規ラインで安定的に生産を拡大することで、主要顧客の需要に対応し、製品ミックスを見直して収益率を改善していく方針だ。

下半期のLCD部門については、セットメーカーにおけるパネルの在庫増加とパネルメーカーの供給拡大による需給不均衡が予想されるものの、高解像度と超大型TVなど、プレミアムTV市場での成長が続く見込みだ。そのためには歩留まり率とコストを改善し、UHDや大型など高付加価値製品とフレームレスや曲面など、独自のデザイン製品の販売を拡大し、収益性を向上する計画だ。

Samsung Electronicsは2017年第2四半期にスマートフォン9,300万、タブレット600万台という販売を達成しており、第3四半期の販売は前四半期比で、スマートフォンは小幅増加、タブレットは同様となる見込みだ。LCD TVの販売は900万台を達成し、第3四半期には1桁成長に留まると予想される。

第2四半期に設備投資は、総計約1兆2,700億円(12兆7,000ウォン)規模で、そのうちディスプレイに約4,500億円(4兆5,000億ウォン)の投資が行われた。今年の設備投資計画は、まだ未確定だが、半導体とディスプレイを中心に、前年比投資が大幅増加する見込みだ。ディスプレイについては、フレキシブルOLEDの需要増加に対応するための生産増大に向けた投資が行われると予想される。

Samsung Displayイ・チャンフン常務は「スマートフォンのセットメーカーによるOLED採用増加で、需要も増加すると見込まれている。現在OLEDラインは、市場需要と顧客のニーズによって、弾力的に運営している。今後もOLEDラインの活用や運営は、市場需要と顧客ニーズに合わせ、戦略的に対応する」と明らかにした。しかし、LCDラインをOLEDに切り替える計画は、まだ考えていない と説明した。

LG Display、2020年 総売上高の40%をOLEDが占める見込み

 

韓国LG Displayは、7月26日に行われた2017年第2四半期カンファレンスコール(電話会議)で、OLEDを中心に売上構造を変えていく方針を表明し、総売上高のうち、OLEDの売上が占める割合について、2017年10%から2020年まで40%に増加すると予想した。

 

LG Display最高財務責任者(CFO)のキム・サンドン氏によると、4年間韓国京畿道国坡州(Paju)市にあるP10工場に、約1兆5,000億円(15兆ウォン)規模の第10.世代OLEDと第6世代POLED生産ラインに投資することを明らかにした。キム・サンドン氏は「OLED TV需要が2018年に250万台、2020年に600万台になると予想されるなど、その需要が急増しているので、量産と効率性向上のためには、必ずP10への先行投資が必要になる。P10工場をOLEDの拠点とする」と述べた。

 

また、キム・サンドン氏は「P10工場の第10.5世代OLEDラインは、2017年7月から2019年1月まで、必要な装置の発注と設置を行い、今後6~12カ月間にテストを実施し、マザーガラスを基準に月3万枚規模のOLEDを量産することが第1次目標だ。P10工場に投資額約5,000億円(5兆ウォン)を投入し、月3万枚規模の第6世代POLED新規ラインを増設する計画で、2019年から生産を開始する予定だ」と説明した。

 

LG Displayは既に投資した韓国慶尚北道亀尾(Gumi)市にあるE5ラインで、今年中に月1万5,000枚規模の第6世代POLEDを量産し、坡州(Paju)E6ラインでは、2018年第2四半期の間に月1万5,000枚規模の第6世代POLEDを量産する計画を明らかにした。中国広東省広州市にあるOLED新規ラインでは、約5,000億円(5兆ウォン)を投資し、2019年上半期から月6万枚規模の8.5世代OLEDを量産すると語った。また、最近注目を集めている第8.5世代OLEDへの投資による技術流出の懸念について、キム・サンドン氏は「複製できない複合的な技術のOLEDは、2013年から現在まで、広州市にあるLCDラインで技術流出という問題は起きたことがない。むしろ装置の国産化と様々な投資によるメリットが多い」と述べた。

 

2017年第2四半期の売上高は、約6,629億円(6兆6,290億ウォン)で、前四半期の約7,062億円(7兆620億ウォン)に比べ6%減少したが、前年同期の約5,855億円(5兆8,550億ウォン)に比べ13%増加した。 製品別販売実績の割合は前四半期比で、TV用パネルが 3ポイント増加した46%、モバイルパネルが4ポイント減少した22%、ノートパソコンやタブレットパネルが1ポイント減少した15%、モニター用パネルが2ポイント増加した17%となった。LG Displayの説明によると、上半期は季節的にオフシーズンに入ったため、実績が落ちたが、オンシーズンに突入する下半期には上半期に比べ出荷量が増える。

今後のOLED市場実績は?

先日の6月に韓国ソウル市汝矣島にある全経連会館で開催されたUBI Researchの「上半期セミナー:OLED市場分析と最新技術セミナー」で、イ・チュンフン代表は、2017年上半期のOLED産業投資と量産状況の分析に基づき、今後の市場見通しについて発表した。

 

イ・チュンフン代表は、中国セットメーカーによるOLEDの需要増加で、2021年には中国がOLED装置市場をリードすると強調した。2021年に中国の装置市場は、装置市場全体の約48%を占めるようになり、約405億米ドル規模の投資が行われる予定だと述べた。

 

また、このような中国の動きは、OLEDスマートフォン市場にも影響を与えると予想される。2019年にはOLEDスマートフォンがLCDスマートフォン市場を追い越し、2021年にはOLEDスマートフォンが同市場全体の80%を占めると見込まれる。

 

フレキシブルOLEDについては、2017年から2019年まで、韓国Samsung Electronicsと米国AppleのフレキシブルOLEDの需要増加に対応するSamsung DisplayとフレキシブルOLED市場で2位を目指している中国BOEによる大規模の投資が行われると見通した。

 

 

 

 

 

イ・チュンフン代表、2018年からはBOEの第10.5世代LCD工場で、65型パネルの量産が開始されることにより、今後は、65型以上の製品がプレミアムTV市場を形成すると分析した。この影響で、第10.5世代を保有していないパネルメーカーは、第8世代ラインでMMG(Multi Model on a Glass)方式にて65型パネルを生産すると明らかにした。

 

韓国LG Displayは、第8世代TV用OLED生産を維持し、2020年以降から第10.5世代ラインでOLEDを生産すると予想された。

 

UBI Researchが発刊した『2017 OLED製造装置レポート(2017 OLED Manufacturing Equipment Annual Report)』では、2017年から2021年までOLED製造装置市場の占有率について、TFT装置が45%、OLED画素形成装置が17%、封止(Encapsulation)装置とセル装置が各々13%、モバイル装置が12%になると予想されている。今後フレキシブルOLEDに対する需要が大きく増加する見込みで、セル装置とモジュール装置の市場占有率は、全体の25%まで拡大し、一層重要になると予想される。

 

AR/VR用ディスプレイ市場レポート発刊 : AR/VR市場、2019本格極拡大 – その動力は?

■ 2021年AR/VRの総体売上高は587億米ドの見通し

■ UHDコンテンツの量産とVR用大容量コンテンツを高速転送できる5Gの導入が予想される2019年に拡大する見込み

 

最近、ICT(Information and Communications Technologies)技術の発展によって、第4次産業革命が新成長動力として注目されており、主要技術の一つである拡張現実(Augmented Reality、以下「AR」)と仮想現実(Virtual Reality、以下「VR」)に対する興味が高まり、Oculus RiftやGear VRなどの製品が続々と発売されている。

 

販売を開始したAR製品には、米国MicrosoftのHoloLens、米国GoogleのGoogle Glassなどのガラスタイプがあり、VR製品には米国Oculus VRのOculus Rift、台湾HTCのVive、ソニーのPlayStation VRなど、HMD(Head Mounted Display)-based VRのようなタイプと韓国Samsung ElectronicsのGear VRのようなSmartphone-based VRタイプがある。

 

7日に発行されるUBI ResearchのAR/VR用ディスプレイ市場レポートでは、2017年に1,700万個のAR/VR製品が出荷され、39億米ドル規模の売上高を達成すると予想される。特に、UHDコンテンツの量産とVR用に大容量データを遅延時間が生じない高速で処理またはストリーミングするための5Gが2019年から導入される見込みという。これによって、AR/VR製品の総出荷量は、年平均成長率54%で2021年には9,640万個になり、総売上高は587億米ドルになると予想される。

 

本レポートでは、AR/VR市場を分析するために、市場を大きく分けて製品とディスプレイに分類し、詳しくはAR/VR製品市場全体、VR製品タイプ別市場、AR/VR用ディスプレイ市場全体、AR/VR用OLEDとその他のディスプレイタイプ別市場に分類した。

 

VR酔いがなく没入感の高い仮想現実を体験できるためにLatency、FOV、Refresh Rate、高解像度のディスプレイ要件を主要な争点として分析し、2014年から2016年まで発売されたAR/VR製品をタイプ別にまとめた上で、ディスプレイの種類と主要メーカーの製品などに分類し、比較分析を行った。

 

また、米国のAppleとFacebookなど、主要ITメーカーによるAR/VR製品の発売現況、関連特許、関連メーカーの買収などの事業推進現況や主要パネルメーカーにおけるAR/VR製品の展示動向をまとめ、関連メーカーには業界の主要動向を把握する際に参考になるとみられる。

 

UBI Researchは、2017年のAR/VR用OLEDの出荷量は260万個になり、その他のディスプレイの出荷量は240万個になると予想し、全体市場の占有率については、OLEDは52%になり、その他のディスプレイは48%になると予想した。また、2021年には5,200万個を出荷し、全体市場で80%を占有することになると予想した。

<AR/VR用ディスプレイのタイプ別出荷量展望>

OLED TVは、画質だけでなく、デザインと音質などの全領域において優れている

「従来のOLED TVが画質を中心としていたのであれば、現在のOLED TVは、画質だけではなく、デザインと音質など全領域で優れているTVだ」

 

先日の5日、韓国江原道横城郡で開催された「第12回ディスプレイ国家研究開発事業総括ワークショップ」の基調演説で、韓国LG Displayのユン・スヨン常務は、明暗と色表現力を含む優れた画質、自由なデザイン設計、音質向上など、OLED TVの特徴を紹介した。

 

 

ユン常務は「LCDとは異なり、自発光であるOLEDは、ピクセル単位で制御できるため、明確な黒を表現し、無限大のコントラストを実現できるので、表現の範囲がとても広い。夜空の星や月を表現する最適なディスプレイはOLEDだ」と述べた。また「OLED TVは正確な色表現力を持ち、自由に中間調表現ができるため、リアルな色を実現する」とOLED TVの優れた画質を強調した。

 

引き続き、CES 2017で多くの来場者の注目を集めた壁紙(Wall Paper)とCSO(Crystal Sound OLED)を紹介しながら「従来のOLED TVが画質を中心としていたのであれば、現在のOLED TVは、画質だけではなく、デザインと音質など全領域で優れているTVだ」と明らかにした。特にスピーカーを内蔵する方式については「デザイン改善の効果と共に口とサウンドの位置を一致させることで、没入感のある画面を実現することができる」と語った。

 

ユン常務は、実用化を目的に開発された77型UHD解像度、透過率40%、曲率半径80Rを実現する透明フレキシブルOLEDを紹介し、透明ディスプレイとフレキシブルが未来のディスプレイになる説明した。また、ソリューションプロセス用装置と材料を開発しているため、新しい形のアプリケーションとフォームファクタ(Form Factor)が必要になると語った。

 

最後に、韓国京畿道坡州市にあるP10工場については「今年末に完成予定のP10は、きちんと準備しているので新しいOLED TVが生産できる」と期待感を示した。

 

 

 

LG Display、OLED TV開発で日本ディスプレイ学会から「業績賞」を受賞

韓国LG Displayは、東京NHK技術研究所で開催された第24回有機EL討論会で、大型OLED TV生産を実現したWRGBの優れた技術力と大型OLED TV市場を開拓した功績が認められ、海外企業としては初めて「業績賞」を受賞したと16日に明らかにした。

 

LG DisplayがCES 2017で公開した55型の透明OLED、参考:LG Display

 

有機EL討論会は、東京大学と九州大学、ソニー、ジャパンディスプライ、JOLEDなど、OLEDに関わる日本の主要業界と学界の専門家が集まり、芸術、応用研究、実用化策を発表・討論する学会である。

 

有機EL討論会によると、LG Displayは、大型OLED TV生産を実現した技術力と大型OLED TV市場を開拓した功績が認められ、海外企業として初の業績賞を受賞した。

 

LG Displayが業績を認められたWRGB技術とは、TFT(Thin Film Transistor)基板の上に、赤(R)・緑(G)・青(B)の有機物を水平に配列するRGB方式ではなく、各々の有機物を垂直に積み上げ、白(W)素子を加え、4つが一つのサブピクセルを構成する方式である。

 

LG Displayは、この技術の採用で、2013年1月に世界初のOLED TVパネルを量産すると同時に大型OLED TV市場を開拓した。

 

LG Displayは、今回の受賞について「フラットパネルディスプレイを主導している日本で、大型OLEDパネルを生産しているLG Displayの技術力が認められたのは、非常に大きな意味を持つ」と強調した。

 

LG Display OLED TV開発グループのオ・チャンホ専務は、今回の受賞について「LG Displayが業界最高の専門家から、OLED技術力を認められたのは、大変喜ばしいことた。今後独自のOLED製品を開発し、ディスプレイ産業の発展に貢献できるように、努力を続ける」と述べた。

 

LG DisplayはSID 2017で、65型UHD壁紙OLEDパネルにおいて、優れた画質を実現した上で、更に応用範囲とデザイン面でもディスプレイの新しい可能性を開いた革新的な製品として高く評価され、今年のディスプレイ賞(Display of the Year)を受賞したことがある。

UBI Research、OLED製造用装置市場レポート発刊

■ 今後5年間、全体OLED装置市場規模は849億米ドルになる見通し

■ 韓国と中国パネルメーカーによる装置への投資規模は全体の90%を占有

 

UBI Researchが発刊した『2017 OLED製造装置アニュアルレポート』は、全体OLED装置市場規模は、2017年から2021年の二年間で、総849億米ドル(約93兆ウォン)になると見通した。2017年にはOLED装置へ164億米ドル(約18兆ウォン)規模の投資を行うという。

OLED装置市場を分析するために、装置を工程別にTFT、OLED、封止(Encapsulation)、セル(Cell)、モジュールの五つに分類した。各工程別の物流装置と検査装置を含む投資費用を計算し、タッチパネル関連装置は市場分析から除外した。

 

UBI Researchチャン・ヒョンジュン先任研究員は、OLED産業をリードしている韓国パネルメーカーによる継続的な投資を中国の後発パネルメーカーによる大規模投資から、韓国と中国がOLED装置市場をリードすると見込んだ。

本レポートで、国家別OLED装置市場は、2017年から2021年まで中国が全体の48%、韓国が全体の42%を占め、この二国がOLED装置市場をリードすると予想される。韓国と中国は2017年と2018年に、328億米ドル(約36兆ウォン)の大規模投資を行うと予想される。

韓国では、Samsung Displayが、自社のギャラクシーシリーズと米国Appleに採用する中小型OLEDラインへの投資を拡大し、LG Displayは、大型OLEDラインと中小型OLEDラインへ同時に投資している。中国では、BOEとCSOTがOLEDラインへ積極的な投資を行うと見込まれており、特にBOEは2017年から中小型OLEDラインへ毎年3万枚以上投資すると予想される。

 

<左) 国家別OLED装置市場占有率, 右) 工程別OLED装置市場占有率>

 

2017年から2021年まで工程別OLED装置の市場占有率は、TFT装置が45%、OLED画素形成装置が17%、封止(Encapsulation)装置とセル装置が各々13%、モバイル装置が12%になると見込んだ。今後フレキシブルOLEDに対する需要は大きく増加すると見られており、セル装置とモジュール装置の市場占有率は、全体の25%まで拡大し、一層重要なると予想される。

仮想現実用HMD機器に必須となったOLED

次世代融・複合ゲームショウPlayX4の開幕式が、5月25日に韓国京畿道高陽市一山にあるキンテックス(KINTEX)第2展示場で行われた。イベント現場では、多くの企業が仮想現実コンテンツを披露した。特に、没入感を向上しながらVR酔いを軽減するために、Oculus Rift、HTC Vive、Gear VRなど、OLEDを採用したHMD(Head Mounted Display)機器を使用したのが特徴的だった。

 

仮想現実ゲーム専門開発者である韓国Realitymagiqは、マルチプレイ対応のゲームを展示した。ディスプレイと仮想現実の没入感ついて、Realitymagiq金・ソンギュン代表は「仮想現実の没入感を高めるためには、まず機器の性能が大事で、VR酔いを引き起こす主要原因となるLatencyを下げられるOLEDがあるだけで十分だ。ただ、解像度を今以上に向上させ、GPUの性能も改善すれば、没入感は一層高まる」と述べた。

 

 

他にも韓国Motionhouseは、実際にドライブする際に発生する車体の傾きやエンジンの振動などが体験できる‘MotionGear’を展示した。仮想現実用ヘッドセットには、OLEDを採用したOculus Riftが使用されており、企業関係者は「アトラクションに採用する時、VR酔いを最小限に抑えられる製品はOculus Riftだけだった」と語った。

 

 

Latencyとは、CPUがTrackerから届く情報を入力して、コンテンツを出力する間の所要時間を意味する言葉で、ディスプレイの応答速度とグラフィックカードの情報処理速度などに関わる。仮想現実で求められるディスプレイの応答速度は、3ms以下と知られており、韓国Samsung Displayは、自社ブログでOLEDとLCDの応答速度を比較し、OLEDが仮想現実用HMD機器に最適なディスプレイであることを強調した。

 

<LCDとOLEDの応答速度比較、参考:blog.samsungdisplay.com>

 

実際に、現場ではVRコンテンツを提供する多数の企業が、Oculus Rift、HTC Vive、Gear VRなど、OLEDが採用されたHMD機器を使用していた。それに対して、来場者は特にVR酔いを感じず、仮想現実コンテンツを楽しめたと語った。

 

Oculus RiftとHTC Vive以外にも、最近発売されたソニーの‘PS VR’とRoyoleの‘Royole Moon’などがある。多くのHMD製作会社が、LCDではなくOLEDが採用されたHMD機器を発売するなど、仮想現実機器へのOLED採用がどんどん広がっていくことが予想される。

2017年第1四半期、AMOLED実績分析

UBI Researchは、2017年第1四半期AMOLED売上高について、43億1,000万米で前年同期(2016年第1四半期)比15%増加し、出荷量については、9,910万台で前年同期比9%増加したと発表した。

 

AMOLED売上高の市場占有率は、スマートフォンが88%、TVが7%を占めた。特に、TVの売上高占有率は、前年同期比5%増加となり、OLED TV市場が大きく成長していることが分かる。

 

韓国Samsung ElectronicsによるGalaxy S8とS8+の発売、Apple向けAMOLEDパネル量産開始、ソニー・東芝・パナソニックなど、日本メーカーによるOLED TV市場参入で第2四半期以降もAMOLED市場は、成長し続けると予想される。モバイル用AMOLEDは、四半期ごとに1億台以上出荷予定、TV用AMOLEDは、四半期ごとに30万台以上出荷予定になっている。

 

UBI Researchは、AMOLED全体市場の規模について、2020年まで年平均成長率33%で約593億米ドルになると見通した。

 

<AMOLED全体市場の売上高展望>