Fraunhofer Institute 、 ISAL 2017で電装用のflexible OLED照明を披露する予定

OLEDモジュールの開発と製作を専門的に行っているFraunhofer Instituteが9月25日から27日までドイツのダルムシュタッとで行われるISAL 2017にて色調節が可能な電装用flexible OLEDを披露する予定であることを明らかにした。Fraunhofer Instituteは去る2015年rigid基板を用いて色調節が可能なOLEDを公開したことがある。

2015年以降、Fraunhofer Instituteはflexible OLED照明を開発し続けてきた。今回のISAL 2017にて披露するflexible OLED照明は黄色と青色2色で色の切換が可能で2色を同時に発現して白色光を表現することもできると知られている。

Fraunhofer Instituteはflexible OLED照明が従来の車の照明を代替することができるだけではなくて天井や屈曲のある部分など設置が難しいところにも適用できると見込んだ。従来の照明はSMPSや放熱板が必要で柔軟な特性が足りなかったため設置の制約があったが、flexible OLED照明は薄くて軽い上にデザイン自律性が優れて車の内部に広範囲にわたって適用されると期待を集めている。Fraunhofer Instituteはflexible OLED用の基板が超薄膜ガラスや金属またはプラスティックフィルムで製造できると説明した。

 

<Fraunhofer Instituteの電装用flexible OLED照明、 出所: Fraunhofer Institute>

 

最近のOLED照明は車の室内外に適用されて次世代電装用照明として注目を浴びている。カスタマイズド自動車サービス会社であるChangscustomはOLED照明を車の内部に設置してSeoul Auto 2016に展示し、LG DisplayとOsramなどOLED光源メーカーはMercedes-BenzとBMWなどの完成車メーカーにtail light用のOLED光源を納めた。

一方、ユビ産業リサーチでは最近発刊した2017 OLED Lighting Annual Reportによると電装用OLED 光源は2017年640万ドルから2025年21.1億ドルに年平均107%の成長率を記録すると予想した。とりわけflexible OLEDの光源が2021年まで95%以上の市場占有率を占めて、flexible OLEDの光源がrigid OLEDの光源より積極的に採用されると見込んだ。.

OLEDの光源市場は9月末から本格稼働されるLG DisplayのGen5 OLED光源量産ラインを始めとして本格的な市場開花が期待されている。OLEDの光源市場がOLEDディスプレイ市場ほど刮目に価する成長ぶりを見せるかその成り行きが注目されている。

UBI Research、2017 OLED光源採用動向及び市場レポート発刊 : LG Display、照明用OLED光源の本格的な量産開始による市場開花期待

■ LG Displayは、9月末から第5世代照明用OLED光源の量産を開始

■ OLED光源市場は、2021年に約19億米ドル、2025年には約58億米ドル規模まで拡大

 

韓国LG Displayは、9月末から第5世代照明用OLED光源の量産を開始する予定で、OLED照明市場が本格的に開花できるかに注目が集まっている。LG Displayによると、月産規模は15,000個で、今後は90,000個まで生産可能な設備が整う。

 

UBI Researchが発刊した『2017 OLED Lighting Annual Report』では、世界のOLED光源市場は、2020年から大きく成長し、2021年には約19億米ドル規模になると見込まれている。また、2017年から2025年まで年平均85%の成長を見せつつ、2025年には58億米ドル規模になると予想されている。

 

OLED光源は、薄くて軽くてた柔らかなパネルを実現できるため、設置スペースの制限がなく、デザインの自由度が高い。また、発熱とフリッカー(Flicker)現象が少なく、安らかな雰囲気を作ることができるため、一般的な室内照明のみならず、車、展示、医療向けにもOLED光源が採用されている。

 

しかし、OLED照明市場はモバイル機器とTVに積極的に採用中のOLEDディスプレイ市場と比べ、成長が遅い傾向がある。ドイツOsramは主に車載用OLED照明向けの開発に集中しており、オランダPhilipsはOLED照明事業部を米国OLEDWorksに売却した。また、住友化学とコニカミノルタなど、日本のパネルメーカーも産業や医療用、その他の様々な分野に採用可能なOLED照明を開発しているものの、大きな成長は期待できなかった。

 

今回LG Displayによる第5世代OLED量産ラインの稼働開始で、照明用OLED光源の価格は100x100mmを基準に10米ドル以下まで下がると期待されている。また、室内照明だけではなく、車載用照明、展示用照明など、様々な分野に採用される見込みで、成長が遅いOLED照明市場に活力を与えられるかに期待が集まっている。

 

UBI Researchは、LG Displayが世界の照明用OLED光源市場全体に占める割合は、2017年に約70%、2020年には約50%となり、OLED光源市場をリードし続けると予想した。

 

『2017 OLED Lighting Annual Report』には、次世代照明市場の動向と有望アプリケーションの分析、LG Displayの投資によるOLED光源コスト分析、OLED光源市場展望などに関する記述が含まれている。特に、OLED光源市場展望とOLED光源用発光材料市場展望、OLED光源用材料及び部品市場展望、OLED光源用装置市場を様々な観点から分析したため、関連企業がOLED照明市場を把握する上で参考になると期待されている。

 

 

<OLED光源市場全体の売上高展望 >

 

LGディスプレイ、OLEDでグローバルテレビ市場を主導する

LGディスプレイが9月12日、中国の北京にあるルネサスキャピタルホテル(Renaissance Capital Hotel)で中国のセットメーカー、流通業者、関連専門家など約200人を招待してプリミアムテレビ市場の現況及びOLEDテレビ事業の展開方向を共有する「OLED Partner’s Day」を開催した。

 

<出所 : LGディスプレイ>

 

この日の行事中に行われた専門家フォーラムではLG電子、ソニー、フィリップス、スカイワース(Skyworth)、スニング(Suning)などの流通及びセットメーカーと電子商会、受賞協会など関連機関の主要役員が出席してOLEDが今後TV市場を主導するということに意見をともにした。フォーラムの出席者であるスカイワースのCEOリュ・タンズ(刘棠枝)総裁は「中国のTV産業が現在飽和状態に置かれているが新しい価値を提示できるOLEDテレビはディスプレイ産業の突破口になるだろう」とし「OLEDテレビがブランドの認知度及び占有率の上昇にも役立つだろう」と述べた。

 

LGディスプレイのCMOであるヨ・サンドク社長は歓迎の辞を通じて「既にOLEDテレビは市場の大勢として位置付けられている」とし「テレビ以上の価値を提供できる本当の未来のディスプレイであるOLEDテレビで市場を本格的に先導していく。」と強調した。

 

LGディスプレイは2013年OLEDテレビ用パネルを量産し始めた以来、LG電子を初めとしてヨーロッパ、日本、中国地域の13社の主要メーカーまで顧客群を増やしてきた。9月初めにドイツのベルリンで開かれた「IFA(国際家電展示会) 2017」にもLG電子、スカイワース、コンカ、フィリップス、パナソニックなど世界の主要テレビセットメーカーがOLEDテレビ製品を前面に打ち出した。

 

画質は厚み、デザイン、視野角、消費電力など多様なメリットを持っているOLEDテレビの価値を認めた世界主要セットメーカーが積極的に製品を発売して、OLEDテレビの市場競争力はさらに高まりつつある。

 

ヨ・サンドク社長は品質に対するプライドを強調すると同時に「安定的な歩留りを確保すると同時に17年度には170~180万台、18年度には250万台まで生産量を拡大する」と生産面でもOLEDテレビが影響力を高められる全ての準備を終えたと説明した。

 

<出所 : LGディスプレイ>

 

OLEDテレビはアメリカの非営利消費者団体「コンシューマーレポート」など世界有数の専門評価機関から相次いで最高の製品だという評価を受けている。

 

OLEDテレビはテレビを見ない時も絵や写真を展示する室内のインテリア用途として活用することができて、多様なAIプラットフォームの適用が容易であるということから活用範囲が無尽蔵である。LGディスプレイは無限の拡張性を持っているOLEDテレビによって消費者のライフスタイルもこれから変わると見込んだ。

 

ヨ・サンドク社長は「OLEDはテレビ市場に新しい価値を提供できる本当の未来のディスプレイ」とし「LGディスプレイはより多くの消費者がOLEDの価値を知って体験できるように様々なプロモーション活動を展開する」という計画を明らかにした。

 

LGディスプレイは中国の核心都市内でOLED体験館を運営する一方、広州タワーにOLEDランドマークを構築する予定である。

 

一方、テレビレビューメディアの「HDTVテスト」の編集長兼画質専門家のビンセント・テオ(Vincent Teoh)は最近行ったテレビ画質のテスト結果、明暗比、色、正確度など全ての面でOLEDテレビの圧倒的な優秀性が立証されたと説明し、中国の有名な撮影家であるのトゥンモン(童梦)は使用者の観点からOLEDが自然色をそのまま具現してくれる最も良いディスプレイだと述べて使用経験を共有した。

 

イベント会場の片方にはOLEDの構造、画質を比較できる体験ゾーンとCSO及びウォールペーパーテレビなど先端製品と顧客社の発売製品などを取り調べられる展示館を設けて、参加者らがOLEDテレビのメリットを直接体験することができるようにした。

【iMiD 2017】Samsung Display、OLEDを採用したアプリケーションを多数公開

韓国Samsung Displayは、先日8月28日から31日まで韓国釜山にあるBEXCOで開催された「iMiD 2017」で、VR(仮想現実)とLight Field Displayなど、OLEDを採用した多くのアプリケーションを公開し、大きな注目を集めた。

 

<Samsung Displayの展示ブース>

 

まず、Samsung Displayは、VR向け460ppiの3.5型OLEDと806ppiの3.2型OLEDを比較展示した。関係者は「ppiが高ければ高いほど、優れた現実感と没入感が体験できる。現在、より高解像度のOLEDを開発している」と述べた。

 

<460ppiの3.5型OLEDと806ppiの3.2型OLEDの比較>

 

また、Samsung Displayは、Future Display ZoneでOLED Light Field Displayを展示し、AMOLED Zoneでは、来場者がLCDとOLEDを直接比較するコーナーを設けた。

 

関係者はLight Field Displayについて「パネルの上に光学レンズを搭載し3Dを実現した技術で、光の干渉効果を利用するホログラムとは少し異なる方式だ」と説明した。また「30°より広い視野角(Viewing Angle)を開発している。現在、ピクセル、レンズ配列、光学設計などの課題がある」と述べた。

 

<OLED Light Field Displayに関する説明と仕様>

 

AMOLED Zoneでは、LCDとOLEDのコントラスト比を直接比較体験できるようにパネルを展示した。OLEDのコントラスト比と色表現力は、LCDに比べ明確な差があり、関係者は「この差がGalaxyシリーズにOLEDを採用している理由だ」と語った。

 

<OLED(左)とLCD(右)の画質比較>

 

他にもSamsung Displayは、1.3型Circle OLEDと12型FHD OLEDなどを披露し、展示会の開催期間中に来場者の関心を大きく引き付けた。

【iMiD 2017】LG Display、77型透明フレキシブルOLED開発に拍車

韓国LG Displayのクォン・セヨル責任研究員は、8月30日に韓国釜山にあるBEXCOで開催中の「iMiD 2017」で、6月に披露した77型透明フレキシブルOLEDを紹介し、その実現のために採用された技術を発表した。

 

 

クォン・セヨル責任研究員は「OLEDはバックライトユニットが必要ない自発光なので、薄く製造できる。薄ければ薄いほど、柔軟性が向上し、OLEDはフレキシブルディスプレイを実現しやすくなる」と述べ、「今後サイネージとスマートデスクなど、様々な分野に採用できる」と予想した。

 

 

今回公開された77型透明フレキシブルOLEDは、輝度を向上するための前面発光方式で、従来のOLED TVや大型フレキシブルOLEDとは異なり、透明薄膜封止層を採用し、2枚のPolyimide基板が用いられた。

 

クォン責任研究員は「前面発光方式を実現するために、金属封止層の代わりに透明薄膜封止層を採用した。2枚のPolyimide基板にWhite OLED発光層とカラーフィルター層を形成して貼り合わせた。Polyimide基板の上下部には水分と酸素の浸透を防ぐために、バリアフィルムとマルチバリアが採用された」と説明した。

 

 

続いて「パネルの曲げ剛性(Flexural Rigidity)は、主に偏光板と封止層の厚みに影響を受けるため、柔軟性を向上するには厚みを減らさなければならない。封止層の厚さを100umから20umまで抑えると、柔軟性向上とともにOLEDモジュールに生じるひずみ(変更率、Strain)も0.36%から0.21%まで抑えることができる」と強調した。

 

他にも、Polyimideの複屈折現象による表面の反射、LLO(Laser Lift Off)工程時におけるPolyimideの性質によるレーザーの波長選択、柔軟性を持つOLEDモジュールの採用など、主要問題について、技術を開発し続けていると述べた。

 

LG Displayは、国家課題としてUHD(3840×2160)解像度、透過率40%、曲率半径80Rを持つ77型透明フレキシブルOLEDを世界で初めて開発したことがある。

【IMID 2017】AP Systems、USPLからFMMの回答発見

28日韓国釜山にあるBEXCOで開催された「iMiD 2017」で、韓国AP SystemsはUSPL(Ultra-short Pulse Laser、超短パルスレーザー)で、1000ppiの解像度を持つFMMの開発に成功したと発表した。

 

FMMは、画素とRGB有機物を蒸着するため、OLEDの解像度と歩留まり率を決める要素となる。現在のFMMは、主にエッチング(Etching)方式で製造されている。この方式は、微細パターンの精密度、厚さ、重さによるShadow現象が生じる問題があり、この問題を解決するためにレーザー加工、電鋳(Electro-Forming)など、様々なFMM製造工程が開発されている。

 

その中で、レーザー加工方式は、レーザーを照射する際に発生する熱(Thermal Effect)による微細な穴(ピンホール)の周囲にバリ(Burr)が生じるという問題がある。このバリは、FMMにおいてShadowの発生を増加し、RGB有機物を蒸着する際にパターンが重なる現象をもたらすことで、OLEDの解像度を低下させる。

 

AP Systemsはこのような問題を改善するために、バリ発生の現象を起こさず、テーパー角(Taper Angle)を制御する‘Burr-Free Laser Process’を開発した。

 

Burr-Free Laser Processは、単方向のパルスを一定回数に分けて短く照射する方式で、レーザーを 連続的に照射しないため、蓄えられていた熱エネルギーが最小化し、バリの発生を防ぐ。また、レーザーのエネルギーを制御することで、エネルギーを蓄えてテーパーを形成する方式である。

AP Systemsは、この方法について「1170ppiのFMMのみならず、微細な穴の形状が四角型、ダイヤモンド型、多角型などの様々な形状を持つFMMも製造した。また、USPL方式が採用された大面積FMMの製造装置の開発にも成功した」と説明した。

また、AP SystemsはFMM製造装置について「マルチビーム(Multi-beam)とUSPLが装着されており、生産性の向上とUHDの実現ができる」と付け加えた。

2014年にGalaxy Note4を発売した以降、まだOLEDの解像度はQHD程度に留まっている。高解像度(UHD以上)を持つOLEDを製造するためには、FMMが技術的に直面している様々な問題を解決しなければならない状況である。そのため、今後のOLED市場において、AP SystemsによるUSPL技術が、どのような影響をもたらすかに注目が集まる。

 

<AP Systemsが製造した1000ppi FMM>

 

<AP Systemsが製造した様々な形状のFMM>

【iMiD 2017】TCL、ソリューションプロセスOLEDとQLED開発に集中

中国TCL最高技術責任者(CTO)のXiaolin Yan氏は、29日韓国釜山にあるBEXCOで開催された「iMiD 2017」の基調演説で、White OLED TVの次なるプレミアム TVとして、ソリューションプロセスOLED TVと自発光QLED TVを挙げた。

Yan氏によると、現在のプレミアムTV市場をリードしているWhite OLED TVは、QD LCD TVに比べ優れた画質、独特のデザイン、高解像度の実現、自然に優しい特性で、プレミアムTVにおける全ての要件を満たしている。

 

また、現在のQD LCD TVより高く設定されている販売価格についても、ソリューションプロセスを採用することで改善できるようになり、2019年には量産が開始できると予想した。

 

Yan氏は「ソリューションプロセス工程は、マザーガラスを切り分けずに実施できるため、第10.5世代工程で簡単に75型パネルを生産できる。それだけではなく、前面発光方式のRGB OLED TVを生産することもできる」と予想した。そのためには、材料と装置の相性とインク形成工程技術の開発などが必要になると強調した。

 

 

続いて、自発光QLED TVについて「QLED構造は、OLEDと似た構造をしているため、参入ハードルが低く、技術を採用しやすい。現在のOLEDに比べ青色発光層の寿命と効率が非常に低いという利点があるものの、カドミウムを使用せずに性能を確保しなければならない」と語った。

 

最後には、ソリューションプロセスOLED TVと自発光QLED TVの実用化を目指して設立された中国Guangdong JUHUA Printing Display Technologyについて、次世代プレミアムTVを開発するためには、材料と装置メーカー、パネルメーカーの協力が必要だと強調した。

【iMiD 2017】You Dream、We OLED

 

OLED市場における韓国LG Displayの領域拡大が本格的に始まった。29日から韓国釜山で開催中の「IMID 2017」のキーノートセッションで、 LG Display最高技術責任者(CTO)のカン・インビョン氏は「OLEDは、未来のディスプレイ産業をリードしていく強力な技術だ」と述べ、LG Displayが考えている未来のプランを提示した。

 

カン・インビョン氏は、大面積OLEDは2020年まで現在の7倍に至る生産能力を拡大し、LCDとのコスト差を抑え、壁紙(Wall Paper)、サウンド統合(Sound Integration)、丸められる(Rollable)、透明なフレキシブル(Transparent Flexible)などの技術力を基に、市場をリードし続けることを明らかにした。LG Displayは最近、中国の第8.5世代に投資を進めており、今後は坡州(Paju)にあるP10工場の第10.5世代OLED量産ラインに投資すると期待されている。

 

中小型OLEDには、プラスチックOLEDを基に、敏速な追随者(fast follower)」戦略を実施すると発表した。LG Displayは、LG Electronicsのスマートフォンの次期モデルである‘V30’に採用するプラスチックOLEDパネルを量産しており、韓国亀尾(Gumi)にあるE5工場では、間もなく本格的な量産を開始する。また、第6世代ラインへ10兆ウォン規模の投資を実施し、2020年までは現在の生産能力の13倍に増加すると期待されている。

 

このようなOLEDに対する攻撃的な投資に基づき、LG Displayは現在の大面積OLEDと中小型OLEDの売上高が占める割合5%を2020年まで40%に引き上げるという戦略だ。

 

大面積OLEDは現在、生産能力の増加と歩留まり率の改善によって、LG Electronicsの他にも、ソニー、パナソニック、オランダPhilipsなどに陣営を拡大し、プレミアムTV市場で優位に立っており、LG Displayにおける今後の売上高は増加すると期待されている。LG Displayが提示した計画が達成できるかどうかは、中小型OLEDの量産成功にかかっている。

第2四半期 OLEDパネル出荷量、継続して増加傾向

UBI Researchによると、2017年第2四半期スマートフォン用OLEDパネルの出荷量は、9,530万枚と前年同期(9,290万枚)比2.6%増加、前四半期(9,470万枚)比0.6%増加となった。

 

<スマートフォン用OLEDパネルの出荷量>

 

韓国Samsung Displayは、2017年第2四半期に全体市場で96.7%を占め、中小型OLED市場で断然1位となった。Galaxy S8、S8+のが好調な売れ行きを見せており、Galaxy Note 8とiPhone 8の一部モデルにOLEDパネルを採用することから、中小型OLED市場でSamsung Displayの独走はしばらく続く見通しだ。

 

31日に公開予定の韓国LG ElectronicsのV30にもOLEDパネルが採用され、中国のスマートフォンメーカーもOLEDパネルの採用を拡大している。スマートフォン用OLEDパネル市場は継続して成長する傾向にあり、スマートフォン用ディスプレイの主役は、LCDからOLEDへ徐々に交代していくと見られている。

 

<TV用OLEDパネルの出荷量>

 

TV用OLEDパネルの出荷量は、37万1,000枚と前年同期(14万枚)に比べ165.0%増加し、大きく成長を遂げている。前四半期(30万6,000枚)比は21.2%増加となった。

 

今年、ソニーのOLED TV市場参入により、今後のOLED TV市場は一層拡大すると見られている。韓国LG Displayの韓国京畿道坡州(Paju)市に所在するE4新規ラインでは、第3四半期からフル稼働を開始する予定で、TV用OLEDパネルの生産量も増加が続く見込みだ。

JDI、30%の人員削減とOLEDへの事業転換を含めた構造改革案発表

液晶パネル大手のジャパンディスプレイ(JDIが9日、グループ社員の約30%に当たるおよそ3,700名の人員削減と、外部の資本確保を含めた構造改革案を発表した。日経新聞及び読売新聞によると、JDIは中国とフィリピンの組立工場を中心に約3,500名、日本内で約200名の人員を削減し、併せて、石川県に所在するLCD生産工場の能美工場の稼働も、今年中に中止することを決めたと報道した。能美工場は、OLEDの生産拠点として活用する方策を検討中だという。

去る2012年、日立製作所、東芝、ソニーの液晶事業を統合して発足されたJDIは、LCDの経営不振やOLED事業への出遅れのため、ここ数年間、実績が悪化している。ゆえに、設立5年で初めて構造改革を行い、LCDパネルの生産ラインを見直し、2018年3月に終わる会計年度に1,500億円の減損会計を適用すると伝えられた。

又、JDIの筆頭株主且つ官民ファンドである産業革新機構が債務保証し、取引銀行から、1,100億円規模の融資を設けたことも発表した。みずほ銀行、三井住友フィナンシャルグループ、三井住友信託等の大手3行が、新たな信用供与を支援する計画だと日経新聞は伝えた。

これにより、JDIのOLED事業転換に速度がつく見通しだ。JDIの東入來信博会長兼CEOは「OLED無くして将来はなし」とし、「この部門の研究開発(R&D)コストを増額する」と強調した。

JDIは「SID 2016」でRGB構造の5.2型FHDフレキシブルOLEDを展示し、「SID 2017」では5.5型FHDのFULL ACTIVE™ FLEX OLEDとLCDを比較展示し、OLEDの鮮明さとコントラスト比等のメリットを強調した。

 

<JDIのFULL ACTIVE™ FLEX OLEDとLCDの比較>

 

又、2017年4~6月期(第1四半期)に第6世代OLED蒸着装置を取り入れ、量産テスト中であると説明した。JDIが構造改革とOLED事業転換を通じて、現在の危機を乗り越えられるか、注目を集めている。